お子さまが小さいころは、手帳がなくても療育などの支援を受けられる場面が多く、「今は別に、なくても困っていないから」と取得をしていないご家庭も少なくありません。
でも、大人になると、少し事情が変わってきます。
障害者手帳を持っていることで利用できる制度やサービスがあり、手帳がなくても利用できる支援もあります。
今回は、大人になってから手帳を取得するメリットと、取得前に知っておきたいことを、シンプルに整理してみます。
1.働くときの選択肢が広がる
大人になってから手帳を取得するメリットの一つが、仕事に関する選択肢が増えることです。
障害者雇用では、障害者手帳を持っていることが原則として必要になります。
手帳があれば、障害者雇用という働き方を選択肢に入れることができ、障害への配慮を受けながら働ける職場を探しやすくなります。
親なき後の生活を考えたとき、「どこで暮らすか」だけでなく、「どんなふうに働くか」「収入をどう確保するか」も大切なポイントです。
手帳は、その選択肢を広げる一つの手段になります。
2.税金などの負担が軽くなることがある
手帳を取得すると、税金やさまざまな料金について優遇を受けられる場合があります。
たとえば、
- 所得税・住民税の障害者控除
- 電車やバスなどの運賃割引
- 携帯電話料金の割引
- 公共施設の利用料の減免
- 自治体による医療費助成
などです。
ただし、対象となる手帳の種類や障害の程度、自治体によって条件は異なります。
また、相続税にも「障害者控除」があります。
相続人である障害者が85歳未満の場合、一定の条件を満たせば、85歳になるまでの年数に応じて相続税額から一定額を控除できます。
この相続税の控除を使うか否かで、支払う税金の額がとして100万円単位で変わってくることもあります。
親なき後の相続を考えるときには、知っておきたい制度の一つです。
3.「手帳がなくても使える支援」もあります
ここは、ぜひ知っておいていただきたいところです。
障害者手帳がないからといって、すべての支援が利用できないわけではありません。
たとえば、次のような制度は、手帳そのものが利用条件ではありません。
| 支援・制度 | 手帳 |
|---|---|
| 居宅介護などの障害福祉サービス | 手帳がなくても対象になる場合あり |
| 就労移行支援など | 手帳がなくても対象になる場合あり |
| 日常生活自立支援事業 | 手帳は必須ではない |
| 障害年金 | 手帳とは別の制度 |
一方で、障害者雇用や税金の減免など、手帳があることが前提となる制度もあります。
「手帳がないと何も使えない」わけでも、「手帳があれば何でも使える」わけでもありません。
4.取得する前に、考えておきたいこと
手帳にはメリットがある一方で、取得前に知っておきたいこともあります。
気持ちの面での負担
「手帳を持つ」ということに、ご本人やご家族が抵抗を感じることがあります。
取得するかどうかは、制度上のメリットだけでなく、ご本人の気持ちも大切にして決めたいところです。
保険や住宅ローンへの影響
手帳を取得したことだけで、保険や住宅ローンが一律に不利になるわけではありませんが、生命保険や医療保険、団体信用生命保険などでは、病気や障害、通院歴などについて告知を求められることがあります。
保険の加入を検討している場合は、個別の告知事項や審査への影響を確認しておくと安心です。
「今は、困っていない」からこそ考えておきたい
障害者手帳は、取得したからといって、すべての支援が受けられるようになるわけではありません。
今は親御さまの支えがあって、生活できている。
今は特に困っていないから、手帳を取る必要も感じない。
そんな場合でも、これから先、働き方や暮らし方が変わったときに、手帳があることで選べる道が増えることがあります。
これからどんな暮らし方をしていきたいのか。
そこから逆算して、手帳が役立つ場面があるなら取得を検討してみるとよいでしょう。
なお、手帳は一度取得したら一生持ち続けなければならないものではありません。更新が必要な手帳もあり、本人の意思で返還することもできます。

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