【成年後見制度】法定後見と任意後見の違いとは?親なきあとで見落とせない「取消権」

「法定後見と任意後見、どちらが良いのでしょうか?」

親なきあと対策を調べていると、よく出てくる疑問です。

どちらも本人の生活や財産を支える制度ですが、私は一つの大きな違いに注目しています。

それは、「取消権」があるかどうか です。

親御さまんの中には、

  • お金の管理が苦手
  • 頼まれると断れない
  • 人を信じやすい
  • SNSで知り合った人を信用してしまう

といったお子さまの姿を見て、不安を感じている方もいるかもしれません。

親なきあと対策では、財産管理だけでなく「トラブルから本人を守れるか」という視点も大切です。


目次

法定後見と任意後見の違い

成年後見制度には、大きく分けて「法定後見」「任意後見」の2つがあります。

法定後見は、すでに判断能力が不十分になった後に利用する制度です。家庭裁判所に申し立てを行い、裁判所が後見人等を選任します。

一方、任意後見は、まだ本人に判断能力があるうちに将来へ備える制度です。

「将来、判断能力が低下したときは、この人に支援してほしい」

という内容を公正証書で契約しておきます。

任意後見の大きなメリットは、後見人になる人を自分で選べることです。

配偶者やきょうだいなどの親族はもちろん、信頼できる友人や専門家にお願いすることもできます。

信頼できる家族や専門家を自分で選べることは大きなメリットです。

比較ポイント法定後見任意後見
利用する時期判断能力が低下した後判断能力があるうちに契約
後見人を決める人家庭裁判所本人
後見人になれる人家庭裁判所が選任本人が選んだ人(家族も可)
取消権ありなし
特徴本人保護の機能が強い本人の意思を反映しやすい

どちらも本人を支える制度ですが、制度としての考え方が少し異なります。

法定後見は「本人を守ること」に重点が置かれています。

一方、任意後見は「自分の将来を自分で決めておくこと」に重点が置かれています。

そして、この2つの制度の違いとして特に知っておきたいのが、次に説明する「取消権」の存在です。

取消権とは?

法定後見の大きな特徴のひとつが、「取消権」です。

取消権とは、本人が不利益な契約をしてしまった場合に、その契約を後から問答無用で取り消せる強力な権限です。

例えば、

  • 訪問販売で断りきれず契約してしまった
  • 不要な健康食品を次々と購入してしまった
  • SNSで知り合った相手にお金を送ってしまった
  • 投資話や副業話を信じて契約してしまった

といったケースです。

近年は詐欺や悪質商法の手口が巧妙化しており、障がいのある方がトラブルに巻き込まれることを心配するご家族も少なくありません。

もちろん、法定後見人がいれば必ず被害を防げるというわけではありません。
後見人がすぐに状況を把握できるとは限らず、日常生活のすべてを見守る制度でもないからです。

それでも、法定後見には、被害が発覚した後に契約の取消しをスピーディーに行えるという法的な保護機能があります。

任意後見では取消権はありません

一方、任意後見人には法定後見人のような取消権はありません。

任意後見人が早期に異変に気づき、家族や警察、消費生活センターなどと連携することで被害の拡大を防げるケースもありますが、法定後見人と同じように即座に契約を取り消せるわけではないということにも留意が必要です。

この「取消権の有無」は、詐欺被害のあとのスピード感という観点から、法定後見と任意後見の大きな違いのひとつとして知っておくとよいでしょう。



親なきあと対策では「取消権」も知っておきたい

法定後見と任意後見は、どちらが優れているというものではありません。

法定後見には、本人を保護するための「取消権」があります。

一方、任意後見は、将来に備えて信頼できる人を自分で選び、自分らしい支援の形を準備できる制度です。

親なきあと対策では、「誰に任せるか」だけでなく、「どのような支援が必要か」という視点で制度を選ぶことも大切です。


まとめ

法定後見と任意後見の違いとして、「誰が後見人になるか」に注目されることが多いですが、親なきあと対策ではそれだけでは十分ではありません。

法定後見には取消権という保護の仕組みがあり、任意後見には信頼できる人を自分で選べるという特徴があります。

しかし、実際の親なきあと対策では、制度の名前よりも「どのような支援が必要か」「誰が見守るのか」という視点が重要になります。

ご本人の特性や困りごと、家族の状況によって必要な備えは異なります。それぞれに合った支援の形を考えていきましょう。

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