障害のあるお子さまの「親なきあと」の生活への備えとして、各自治体が実施している「障害者扶養共済」という制度があります。
我が家も先日申し込みをしましたが、正直、あと5年早くから入っておけばよかった・・・と少し悔やんでいます。
私自身、この制度の存在を知ったのは最近でした。
行政の窓口でも積極的に案内される制度ではないため、知らないまま過ごしてしまうご家庭も多いのではないかと思います。
今回は、この制度への加入を検討されている方に向けて、メリットとデメリットをまとめました。
今回の記事を書くにあたって、厚労省のパンフレット
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000195619.html
そして、弁護士である前園先生の著書で勉強させていただきました。
情報が限られている障害者扶養共済について、日本で一番わかりやすく書かれていて参考になりますのでぜひお読みください。

本のタイトルどおり、まさに「誰も教えてくれない」内容です!
注意:障害者手帳があっても、加入できるとは限らない
まず前提として、障害者扶養共済は、障害者手帳を持っていれば必ず加入できる制度ではありません。
次のいずれかに該当し、将来独立自活することが困難であると認められる方を対象とした制度です
- 知的障害
- 身体障害手帳1級〜3級
- 精神または身体に永続的な障害があり、その障害の程度が1,2と同程度と認められる方
3についての補足です。
例えば、発達障害のある方が取得することの多い、精神障害者保健福祉手帳3級の場合、自治体によっては加入対象とならないケースが多いようです。



千葉県は「精神障害者保健福祉手帳は1・2級の方が対象で、3級の場合は、特別な事情がない限り対象ではないとの回答でした。
障害者扶養共済では、「将来にわたって独立した生活を送ることが難しいかどうか」を踏まえて判断されます。
まずはお住まいの自治体に加入要件を確認しておくことをおすすめします。
障害者扶養共済の6つのメリット
まずは、この制度が持つ6つのメリットです。
1. 自治体が運営する公的制度であること
各都道府県や指定都市が条例に基づいて実施している公的な制度です。信頼性と安定性があります。
2. 生涯にわたる年金支給
保護者に万が一のこと(死亡や重度障害)があった場合、障害のあるお子さまに1口毎月2万円(2口加入の場合は4万円)の年金が生涯支払われます。
毎月少額ずつ支払われる仕組みというのが、安心ですね。
3. 掛金が比較的割安
公的制度として運営されており、親なきあとに毎月定額の年金を受け取れる仕組みとしては、比較的利用しやすい掛金水準となっています。
4. 税制上の優遇措置(所得控除)
支払った掛金の全額が小規模共済掛金としての所得控除の対象となるため、毎年の所得税や住民税の負担を軽減する効果があります。
たとえば、所得税率20%の年収の方なら、所得税(例: 20%)+住民税(一律10%)も安くなり、実質約30%引きの負担で加入できる計算になります。
5. 年金の非課税と生活保護への配慮
将来お子さまが受け取る年金に税金はかかりません。また、万が一生活保護を受給することになった場合でも、この年金は収入認定の対象とならない取扱いとされているため、生活保護制度との関係でも配慮された制度となっています。
6. 掛金の免除制度
以下の2つの条件をどちらも満たすと、それ以降の掛金の支払いが免除されます。
- 加入から20年以上経過していること
- 加入者が満65歳になる年度の指定月を迎えること
障害者扶養共済の3つのデメリット
安心できる制度ですが、加入前に知っておくべき注意点(デメリット)も3つあります。
1. 「掛け捨て型」と類似の制度である
加入日から20年以上経過し、かつ、65歳まで掛金を支払う制度とされています。途中で解約した場合や、保護者より先にお子さまが亡くなった場合、加入期間に応じた脱退一時金や弔慰金は支給されますが、支払った掛金のごく一部しか戻りません。途中でやめてしまうと損をする制度なので、貯蓄目的には適していません。
2. 掛け金が改定される場合がある
また、公的な制度ではありますが、過去の制度改正によって掛金が引き上げられた経緯があります。今後も状況によって掛金が改定される可能性があります。
20年以上という長い年月を考えて、家計の状況を見据えて検討する必要があります。
リタイア後まで続く、掛け金を捻出できるかも検討しておくと良いでしょう。
3. 支払った掛金総額より受給総額が少なくなる可能性
親御さまが長生きされた場合や、お子さまの年金受給期間が短い場合など、結果的に支払った掛金の総額が、受け取る年金の総額を上回ってしまうリスクがあります。



参考までに、40代後半で加入した我が家の計算では、親なき後に、子が17年4ヶ月以上生きた場合に、元がとれる計算(節税分は計算に入れず)になりました。節税分を考慮すると、元本回収年月はもっと縮まります。
加入時期に関する注意
この制度は、加入する年齢によって最終的に支払う掛金の総額変わります。
冒頭で紹介した本の著者、前園先生によると、例えば34歳、39歳、44歳といった「区切りの直前の年齢」で加入すると、掛金の総支払額を抑えやすくなります。
一方で、35歳、40歳、45歳などの「区切りの年齢」に達してから加入すると、掛金の支払総額が50万円以上(2口の場合は100万円以上)増加することがある点には注意が必要とのことでした。
詳しくは前園先生の書かれた記事をご覧ください。
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まとめ
障害者扶養共済には、親なきあとの子の生活を支える安心な制度である一方で 実質の掛け捨てとなるリスクなどのデメリットも存在します。
月々の掛金を支払うよりも、今は目下の教育環境を充実させてあげたい、NISAで運用したいなどのニーズは家庭それぞれだと思います。
20年以上の先の家計の状況が把握しきれない中、65歳まで掛け金を払い続けるという覚悟も必要です。
将来のお子さまの収支状況によっては、もしかしたら必要のない制度なのかもしれません。
そして、これは私も心配しているのですが、残された家族や支援者が制度の存在を知らなければ、請求手続きが遅れてしまう可能性があります。
親御さんが元気なうちから、誰がどのように手続きを行うのかを家族で共有しておくことも大切です。
公的制度ということで、丁寧に制度を案内してくれる営業の人が窓口にいません。



障がい福祉課の窓口の職員さんも、あまりよくわかっていない状況でして、私も最初はパンフレットからしか得られる情報がない状況でした。
制度をしっかり知った上で、じっくり検討をされるのがよいでしょう。
親なきあと対策には、障害者扶養共済のほかにも、特定贈与信託、生命保険信託、家族信託などさまざまな選択肢があります。どれか一つが万能というわけではなく、ご家庭ごとに合う方法は異なります。
焦らず情報を集めながら、ご家族にとっての「ちょうどよい備え」を一歩ずつ考えていきましょう。






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