成年後見制度を使いたくない家族へ|親なきあとに備える5つの対策



「成年後見制度は必要と言われるけれど、できれば使いたくない」

障がいのあるお子さんを持つ親御さまの中には、そのように感じている方も少なくありません。

成年後見制度は本人を守るための大切な制度ですが、事前の準備によって、制度が必要になる場面を減らせる可能性があります。

この記事では、親なきあとに備えて家族が今からできる5つの対策をご紹介します。

目次

いつ、どこで、なぜ成年後見制度が必要と言われるの?

裁判所のデータなどによると、成年後見制度が必要になる主な理由は以下の通りです。

  • 銀行の預金をおろしたい・解約したい
  • 不動産を売りたい
  • 親が亡くなった後の相続手続きをしたい
  • 保険金を受け取りたい
  • (病院や介護施設と契約したい)←慣習的に家族が代理できることも多いです

これらの法律行為で「本人だけで判断して手続きすることが難しい」と判断されると、手続きが進められなくなり、成年後見制度等の利用を検討する必要が生じることがあります。

特に、金融機関では本人確認や不正利用防止の観点から、本人の意思確認を求められる場面があります。

今すぐできる!成年後見制度を避けるための5つの対策

1. 銀行の預金:代理人カードの準備を

銀行手続きに関する悩みは、親権が及ばなくなる18歳以降に表面化しやすくなります。

  • 18歳未満(未成年)の間: 親は「親権者」として、子供の代わりに口座開設やカード作成が法律上認められています。
  • 18歳以降(成人): 親は法定代理人にはなれず、委任状があっても「口座開設」という行為自体を代理できないというのが多くの銀行のルールです。これは犯罪収益移転防止法上、口座開設時は名義人本人の本人確認が必須とされているためです。

18歳以降の口座開設は、銀行側は「本人の意思確認ができない」となると、契約の代理権を持つ成年後見人の選任を求めてくることになります。

今すぐできる予防策

  • 18歳になる前に、親権者の権限でお子さん名義の口座を開設しておく。
  • 本人用のキャッシュカードと親用の代理人カードを合わせて作っておく

キャッシュカードがあれば、ATMで日常的な管理が可能です。

ご本人が窓口に行く必要性を減らすことが、将来の手続きを円滑にするための準備になります。

2. 病院や介護の契約:家族のサポートと名義の工夫で乗り切る

医療機関や介護事業所によっては、家族の支援を受けながら契約手続きが進められるケースもあります。(2026年時点)

3. 不動産:名義を誰にするかを慎重に検討

不動産を売買する契約に関する本人の意思確認は、とても厳格です。そのため、将来売却や名義変更が必要になる可能性も踏まえ、障がいのあるお子さんに不動産を相続させるかどうかは慎重に検討する必要があります。

そうはいっても、「家だけは残してあげたい」と考えている方が多く、障がいのあるご本人が住み続けるケースが多いこと、一人っ子で他に相続人がいない場合など、不動産を承継した方がよいケースもあります。

不動産を障がいのあるお子さんに相続させる場合は、将来の管理や売却手続きも見据えながら、遺言書の内容を検討しておくことが大切です。

4. 相続トラブル:親が元気なうちに「遺言書」を残す

親が亡くなった後の相続手続きでは、書類に相続人全員のサインや実印での捺印が必要になり、協議の内容を理解し、署名ができないとなると、手続きがストップしてしまい、成年後見人が必要となります。親なきあと対策において、遺言書は非常に重要な対策です。。

判断能力に不安のあるお子さんがいる場合は、「どの財産を残すと将来困りにくいか」という視点で、遺言書の内容を検討しておくことが大切です。

5. 保険金の受け取り:「代理で受け取れる仕組み」を活用

保険金を受け取るときも厳格な手続きが求められます。商品や制度によっては、本人以外の方が請求や受領に関与できる仕組みが用意されている場合があります。



準備しても避けられないケースもあります

ここまで事前準備によって対応しやすくなる例をご紹介しましたが、状況によっては成年後見制度などの利用が必要になる場合もあります。

  • 不動産の売却など重要な財産管理が必要になったとき
  • 遺産分割協議などの法律行為が必要になったとき
  • 訴訟や示談交渉などの法的手続きが必要になったとき

このような場面では、本人の権利を守るために成年後見人等の選任が必要になることがあります。

そのため、「絶対に成年後見制度を使わないこと」を目指すのではなく、必要になった場合にも慌てないよう事前に備えておくことが大切です。

まとめ

成年後見制度は、事前準備によって必要となる場面を減らしたり、選択肢を広げたりできる可能性があります。
成年後見制度は、社会的弱者を守る大切な制度ですが、やはり費用面などの心配から、望まない方が多いのも事実です。
いざという時に慌てないよう、「元気なうち・早いうちの準備」が何よりも大切です。

なお、成年後見制度は現在、大きな見直しが進められています。2026年6月には関連法が成立し、今後は「必要な場面・必要な期間だけ利用できる制度」などを目指して制度の見直しが進められる予定です。

制度は今、大きく変わろうとしています。『後見制度は一度始めたら一生続く』というイメージは、今後変わる可能性があります。


成年後見制度は本人の権利や財産を守るための重要な制度です。本記事は制度の利用を否定するものではなく、事前準備によって選択肢を広げるための情報提供を目的としています。

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